学習塾や教室の運営に携わっている方にとって、生徒や保護者と双方向のコミュニケーションがとれるLINE公式アカウントは、ぜひとも押さえておきたいツールの一つです。
総務省の調査によると、LINEの利用率は全世代で一貫して増加しており、90%を超えています。また年代別の利用率を見ても、10代から50代で90%を超過しています(※)。
例えば学習塾であれば、生徒だけでなく保護者の年代もLINEを日常的に利用していることになります。
加えて、LINEならメールや電話と違い、双方場所や時間を選ばずにメッセージのやり取りができますし、授業の変更についてのお知らせやイベントの案内などもスムーズに配信することができます。
そして、そんなLINE公式アカウントでできることを拡張した上に、より使いやすくしてくれるツールが「L Dash」。本記事では、学習塾や習い事などの事業にL Dashを導入した場合の使い方イメージをご紹介していきます。
※ 総務省『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』(p.69)
友だち登録経路を使って自動でタグ付け
L Dashの「友だち登録経路」機能を使うと、友だち追加用のリンクやQRコードを複数発行し、それぞれのリンクやQRコードから何件友だち登録されたかなどを確認することができます。
LINE公式アカウント標準機能の「友だち追加経路」と異なるのは、友だち一人ひとりのプロフィールと経路が紐づく点。「誰が」「どこから」友だち登録してくれたかまで分かります。
また、特定の経路を使って友だち追加してくれたユーザーに自動でタグを追加するよう設定することも可能です。
例えば以下の画像では、「全国模試出口配布チラシ」という経路から2人のユーザーが友だち登録してくれていることが分かります。

(出典:L Dash「友だち登録経路」一覧画面)
そして、「全国模試出口配布チラシ」から友だち追加したユーザーには「全国模試参加」というタグが付くように設定しています。

(出典:L Dash「友だち登録経路」一覧画面)
タグは友だちを検索したい時などにも使えますが、後ほど解説する「絞り込み配信(セグメント配信)」にも活用できる重要な要素の一つです。
あいさつメッセージでクーポンを配信する
友だちを増やす施策として、「あいさつメッセージ」に「クーポン」をつけて配信するのは定番の手法ですが効果的です。
あいさつメッセージとは、ユーザーがLINE公式アカウントを友だち追加した直後に自動で配信されるメッセージのことです。そのため、あいさつメッセージの一要素としてクーポンを配信すると、ユーザーは友だち追加直後にクーポンを受け取ることができます。またクーポンをインセンティブにすることで、ユーザーの友だち追加に対する心理的ハードルを下げる効果も見込めます。

(出典:L Dash「あいさつメッセージ」画面)
そしてL Dashで作ったクーポンは、それぞれどのくらい使用されたかを確認できるだけでなく、「いつ」「誰が」「どの」クーポンを使ったのかまで分かります。

(出典:L Dash「クーポン」基本情報画面)
友だちを増やすには、ほかにも「友だち登録するとどんな特典があるのか」、「どんなお役立ち情報が得られるのか」をチラシなどで訴求するとよいでしょう。
質問フォームで申し込みフォームを作る
塾や教室であれば、当面の目標はより多くのユーザーに体験授業や説明会へ参加してもらうことである場合も多いかと思います。
L Dashの「質問フォーム」機能を使うと、簡単に申し込みフォームをつくることができますよ。体験授業の申し込みフォームを作る場合、あらかじめ用意されている「イベント参加申込書」のテンプレートを使うとよいでしょう。

(出典:L Dash「質問フォーム」テンプレート選択画面)
さらに、質問フォームへの回答内容は各ユーザーの「友だちプロフィール」に紐づけることも可能です。

(出典:Android版LINEアプリトーク画面)
以下のように、名前やメールアドレスなど、ユーザーが上の質問フォームに入力した内容が友だち詳細画面の友だちプロフィールに反映されます。

(出典:L Dash友だち詳細画面)
なお友だちプロフィールも、タグと同じように絞り込み配信で使用できます。積極的に情報を蓄積していきましょう。
シナリオbotでお問い合わせに対応する
選択式の設問をユーザーへ次々に提示できる「シナリオbot」を使うと、お問合せへの対応を一部自動化することができます。具体的には、シナリオbotで「よくあるお問い合わせ集」を作り、ユーザー自身に疑問を解決してもらうのです。

(出典:L Dash「シナリオbot」作成画面)
詳しくはこちらの記事でご紹介しているので、併せてご参照いただけますと幸いです。ちなみに、実際にシナリオbotを操作している様子が以下の動画になります。

(出典:Android版LINEアプリトーク画面)
このシナリオbotは後述する方法で、「リッチメニュー」から呼び出せるようにしておくとより親切でしょう。
シナリオbotでお客様アンケートを作る
時にはユーザーの声を直接聞いて、LINE公式アカウントや教室の運営に活かしていきたいですよね。そんな時、質問フォーム機能を使ってアンケートフォームを作ってもよいのですが、シナリオbotを使って選択式のアンケートを作ることもできます。
この方法の利点は、記述式のアンケートに比べてユーザーが気軽に参加できる点と、任意の選択肢を選んだ友だちのプロフィールに自動でタグや友だちプロフィールを追加していける点です。
設定方法などはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、ここではユーザーからの見え方を確認してみましょう。

(出典:Android版LINEアプリトーク画面)
この操作を行ったユーザーの友だち詳細画面を見てみると、シナリオbotでの選択がタグや友だちプロフィールに反映されていることが分かります。

(出典:L Dash友だち詳細画面)
リッチメニューから質問フォームやシナリオbotを呼び出す
リッチメニューとは、LINEのトーク画面下部(キーボードエリア)を大きく占有するタイル式のメニューのことです。
リッチメニューをタップするだけで、上で作成した体験授業の申し込みフォームや、シナリオbotで作った「よくある質問集」を呼び出せたら便利ですよね。
一見複雑な設定が必要そうですが、「キーワード応答」機能を使うと簡単に実行可能です。
まず、キーワード応答画面で申し込みフォーム(質問フォーム)を呼び出せるよう設定します。詳しい手順はこちらの記事やこちらの記事をご覧ください。

(出典:L Dash「キーワード応答」詳細画面)
上の画像では、ユーザーから「体験授業」や「体験授業申し込み」というキーワードが送られてきた時、「無料体験授業お申し込みフォーム」を自動送信するように設定しています。
次にリッチメニューの設定を行っていきましょう。

(出典:L Dash「リッチメニュー」編集画面)
ここでは、最も大きい「E」領域がタップされたとき、「体験授業申し込み」というキーワードがユーザーから発せられるように設定しました。これで、リッチメニューの「E」領域をタップするだけで申し込みフォームが呼び出せるようになりました。実際の挙動を見てみましょう。

(出典:Android版LINEアプリトーク画面)
同じように、「よくある質問」や「お問い合わせ」がタップされた際にシナリオbotを呼び出すよう設定することも可能です。
タグや友だちプロフィールで絞り込み配信をする
LINE公式アカウントの標準機能で絞り込み配信(セグメント配信)をする際は、母数が一定以上必要となります。一方L Dashでは、対象が1名からでもタグや友だちプロフィールを使って簡単に絞り込み可能です。
絞り込み配信の詳しい手順はこちらの記事でご紹介していますので、併せてご覧いただけますと幸いです。今回は友だちプロフィール項目の「苦手科目」に「算数」と入力されているユーザーを絞り込んでメッセージを送ってみましょう。
配信ターゲット条件に「苦手科目」という友だちプロフィール項目を選択し、「算数」という値を入力しました。

(出典:L Dash「メッセージ配信」設定編集画面)
同じ手順で、例えば「全国模試参加」というタグがついているユーザーだけに、特別夏期講習のお知らせや申し込みフォームを送るといった使い方もできます。

(出典:L Dash「質問フォーム」基本情報詳細画面)
ちなみに、LINE公式アカウントのアカウント名は多くの場合塾や教室の名前にしているかと思いますが、L Dashでは以下のようにメッセージ配信の際、一時的にアイコンと表示名を変更することもできますよ。

(出典:L Dash「メッセージ配信」設定編集画面)
配信するメッセージの内容によっては、担当講師の名前やアイコンにしてみると、受け取るユーザーに親近感を与えることができそうです。
まとめ
塾や教室の運営には、生徒や保護者との綿密なコミュニケーションが必要となってきます。そのためのツールとしてLINE公式アカウント、そしてL Dashはきっと活躍してくれるはずです。
シナリオbotや質問フォームといった便利な機能を併用しつつ、一斉配信や絞り込み配信(セグメント配信)、チャットを適宜使い分けて、ユーザー一人ひとりと向き合ってみてください。そうすれば、望む成果を得ることができるでしょう。
【参照・参考】
・LINE株式会社『はじめてでもできる! LINEビジネス活用公式ガイド 第2版』インプレス,2023年6月
・総務省『令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』(2024年6月6日参照)